SUTD、2光子造形で低照度撮影向け「ColorRouter」を試作
低屈折率ポリマーの4本のナノ柱でRGB光を振り分け、従来の吸収型カラーフィルターによる光損失の低減を狙う。

南極熊は2026年10月23日、シンガポール工科デザイン大学(SUTD)などの研究チームが、2光子重合(2PP)でポリマー製の「ColorRouter」を試作したと報じた。研究論文は8月27日付でNature Communicationsに掲載されている。従来のBayer配列が不要な波長を吸収するのに対し、微細構造による散乱と干渉で赤・緑・青の光を対応するセンサー領域へ振り分ける。
1セルは寸法の異なる4本の円柱状ナノ柱で構成され、屈折率約1.5のIP-L樹脂を使用する。最小構造は約150 nm。研究チームは約1×1 mm²の領域に約25万セルを造形し、シミュレーションで約90%、試作デバイスで約70%の透過・ルーティング効率を得たと報告した。単色センサーを使った実験では、従来フィルター方式のおよそ3分の1の露光時間でも良好な色再現を示した。
数値は論文中の実験系に基づくもので、市販カメラに統合した性能ではない。現状の2PPは設計検証用で、量産にはナノインプリントなどへ移行できる材料・工程の開発、センサー表面への直接統合、色間クロストークと入射角依存性の改善が必要になる。研究チームは量産を意識して、複雑なオーバーハングや閉鎖空間のない2.5D構造として設計している。
要点
- 論文公開日:2026年8月27日、Nature Communications
- 製造法:2光子重合(2PP)
- 材料:低屈折率IP-L樹脂(屈折率約1.5)
- 構造:1セルあたり4本の円柱状ナノ柱、最小特徴約150 nm
- 試作規模:約1×1 mm²に約25万セル
- 試作デバイスの透過・ルーティング効率:約70%
補足
微細3Dプリントを最終量産法ではなく、従来材料でも成立する光学構造の高速な設計検証手段として使う例で、低照度・多波長センサーの高効率化につながる可能性がある。


